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【る】~涙(るい)引きて ともを呼び~

昔々、そのまた昔、ムッサシノウシ・クイッチジョージという王国がありました。
優しい王様やきれいなお姫様、そして活気あふれる市民たち…
それはそれは、様々な人々が幸せに過ごしておりました。

そんな美しい王国には、自然もいっぱい。
王国の南の奥深くに、豊かな木々に囲まれた森がそびえています。

そこには純粋なこころを持つものだけに姿が見える妖精――ブラウニー――が住んでいるという
古から吟遊詩人に歌い継がれた伝説がありました。

忘らるる 翠の都
幻の影なる その姿
褐の色まとう 小さき妖精(ひと)

時に舞い 時に歌い 時に踊り
ささめくは 悪戯な 眇眇たる光り

木々の彩を纏った妖精たちは、日々陽の光から命を授かり
ひとり、またひとりとその数を増やします。
そうして美しい自然が保たれ、栄えてゆくのです。

しかし、輝かしい繁栄は永年と続かず
人間による醜い領地争いによる闘争は遂に
美しい自然が脅かすようになりました。

妖精たちは遥か南西、大陸を超えて――
オクルゥナワの樹林へ住処を移すべく
哀しくも人知れず、森を後にするのでした。

妖精の加護を失った代償はあまりにも大きく――
そして、クイッチジョージ王国の存亡は――…

~第二部・裏切りと哀しみの哀歌-エレジィ- へ続く~

マッチネー=クリスタリアス
(宮川真理/訳・解説)

解説:人々の出会いは数多くとも、その環境は無常です。
   転じて、どのような状況であっても志を同じくした仲間は決して離れない絆の強さが
   筆者の伝えたい、もう一つの裏テーマなのでしょう。

挿絵協力/
武蔵野市吉祥寺に拠点を構える某ゲーム会社の皆様
社員旅行で沖縄に行く途中だそうです。
その後ろ姿は、さながら居を移すブラウニーたちのよう…